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光の回廊 — Corridor of Light

Projects / 03

03

Corridor of Light

光の回廊

Kyoto, Japan  —  2025

SCROLL

Design Narrative

水面と壁の間に
宿る光の時間

A Narrative of Light Between Water and Wall

このプロジェクトの始まりは、京都の旧市街に残された細長い敷地との出会いでした。東西に延びる間口四メートル余り、奥行き四十五メートルの典型的な「うなぎの寝床」。多くの設計者がこの制約に苦心するところを、私たちはむしろ、光の軌跡を建築に織り込む機会として受け取りました。

敷地の中央に小さな水庭を設け、その南面に大きく開口を取りました。午前中は東側の高窓から斜光が差し込み、正午を過ぎると水庭の水面が太陽を反射して、白漆喰の壁面に揺れる光の紋様を描きます。この光の回廊こそが、この住宅の核心です。

「光は設計しない。光が通り抜ける場所を、静かに設計する。」

素材の選定においては、徹底的に地元の文脈を参照しました。京都産の石灰岩は、長年の風雨に晒されることで独自の表情を帯びます。その経年変化を美しさとして受け入れる姿勢が、この家の時間軸を設定しています。大和楢の無垢材は、職人の手で丁寧に削られ、表面に微細な凹凸を残します。光が素材の上を這うとき、その凹凸が影を生み、空間に深みを与えます。

居住者との設計プロセスにおいては、光の移ろいについて繰り返し対話しました。朝の光の中でコーヒーを飲む場所、昼過ぎに読書をする縁側、夕暮れに家族が集う食卓——それぞれの場所に、それぞれの光の時間を割り当てることが、この設計の主題となりました。

回廊の空間
回廊の空間 — The hallway as spatial threshold, Kyoto 2025

Design Decision

水庭と光の
対話について

On the Dialogue Between Water Garden and Light

水庭の深さはわずか六センチメートルです。この浅さが重要でした。深い水は波立ち、激しく光を乱反射します。しかし六センチメートルの水は、風によってごく微細に揺れ、天井や壁に繊細な光の紋様をゆっくりと泳がせます。

水庭の縁には、大谷石の薄板を水平に張り出させ、水面と床面の間に一センチメートルの隙間を作りました。水が床を「浮かせている」ように見えるこの納まりは、外と内の境界を意図的に曖昧にします。

素材は語る。職人の手は翻訳する。建築家の仕事は、その対話の場を作ることだ。

水庭と光の反射
石と水のディテール

浴室の石積みは、京都の左官職人が一石一石、手で組み上げたものです。接着剤を最小限に抑え、石と石の間に生まれる微細な影の連なりが、浴室の壁面をただの面ではなく、触覚的な風景へと変容させます。水が石の上を流れるとき、素材の記憶が甦るような感覚を意図しました。

Fig. 3

Technical Details

平面計画 Floor Plan

細長い敷地に沿って、パブリックゾーン(玄関・土間・食堂)、半パブリックゾーン(水庭・回廊・書斎)、プライベートゾーン(寝室・浴室・蔵)を直線的に配置。水庭を中心に、各空間が光を共有する構成。

建築面積
62.4 m²
延床面積
187.2 m²
階数
地上2階 / 地下1階

断面計画 Section

地下一階は書庫と茶室。地上一階は日常生活の場。地上二階は寝室と縁側。各階の天井高を意図的に変え、上階ほど低くすることで、上昇する動線に静けさをもたらす。水庭は一・二階吹き抜けとし、光を地下まで導く。

1F 天井高
3,200 mm
2F 天井高
2,600 mm
B1F 天井高
2,400 mm

素材仕様 Material Spec

外壁は京都産石灰岩の乱積み。内壁は土壁下地に漆喰仕上げ(色粉なし)。床は大和楢の無垢フローリング。建具は手工紙障子、ブロンズ金物使用。浴室壁は大谷石の手積み。

外壁
京都産石灰岩 / 乱積み
内壁
漆喰仕上げ(土壁下地)
大和楢 無垢材 t=30mm
建具金物
ブロンズ鍛造品